NPO法人TEDIC/代表理事 門馬優

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バトンパス。

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今日は午後から学校へヒアリング調査に。石巻市から受託している「子どもの生活実態調査」も佳境を迎え、圏域の小・中・高校にご協力いただき、学校から見える子どもたちの実態について、お話を伺ってきました。

 

今日は2校伺いましたが「こんな現実があるのか」と痛感させられるケースの数々。未成年、それも10代での早期妊娠出産や、生活苦による万引き、犯罪に巻き込まれる子ども、親の暴力の中で駆け引きをし合う兄弟、保護者の搾取に怯える子ども・・。具体のケースをご紹介することはもちろん出来ませんが、キーワードだけでも胸が苦しくなります。「こんな状況で、よく生きてこれたね」「学校に来れていることが、本当に奇跡」という、先生の言葉が印象的。こんな理不尽な状況に置かれる子どもたちの現実に直面すると、改めて「もっと頑張らなきゃ」と使命感に駆られます。

 

夕方から夜は内部の常務会、職員とのミーティング。先日の理事会でもガバナンスや、内部の人材育成に関する多々のご指摘をいただき、内部で検討。石巻で、一緒に支援に取り組む仲間を、熱烈に募集しています。(興味のある方は、ご連絡を!)誰かいないかな、壁をぶっ壊して「子ども」「若者」のために、走り回る支援者、募集です。

 

先日、2015年11月から運営を続けてきた「ていざん子ども食堂」を正式に、地域の皆さんに引き継ぎました。色んな条件が重なる中で、課題山積で引き継ぐことでご迷惑をおかけしたところも多々ありながら、この3年間でご一緒させてもらったこと、全てが宝物だと思っています。

 

立ち上げ当初から、「地域の子どもたちは、地域で育てる」という住民さんの強い思いに感化され、色んなトラブルに見舞われながらも、学校・地域・NPOの共同実践として、必死に取り組んできました。これだけ沢山の住民さんたちが関わり、また学校もチラシ印刷や広報など、全面パックアップしてくれる子ども食堂は、全国を探してもなかなか見つからないのではと思います。

 

「『子ども食堂』はこうあるべきだ!」という議論に答えはありませんが、ていざん子ども食堂が「地域住民と、子どもたちの、縁の結び直し、編み直し」の機能になっていることは間違いありません。これまでなら「顔」は知っているけれど、声をかけてはいけない他人同士だった住民さんと子どもたちが、食堂を通じて「知り合い」になる。

 

そんな「知り合い」が地域にたくさん増えることで、現に「ひとりぼっちで夜を過ごす」男の子を、住民さんが自主的に預かる「夜間保育」のような動きも生まれました。困っている地域の子どもを放っておけず、「なんとかしなきゃ」と思った、あるおばちゃんの起こした行動でした。

 

「あの子と一緒に過ごせたことは、私にとっての財産で、子ども食堂のおかげです」

 

と語るおばちゃんの表情はすごく柔らかくて、キラキラしていました。こんなにも、「他人」である地域の子どものことを思えること、本当に素敵だなと思います。

 

「ていざん子ども食堂」と私たちの関わりはこれからも続きます。現に子ども食堂に参加している子どものSOSが繋がり、SSWer等との連携のもと、個別伴走支援を開始しました。地域の温かい眼差しの中で、一人でも多くの子どもたちが育まれる。そのプロセスで聞こえてくるSOSを住民さんが受け止め、支援チームである私たちが介入する。そんな顔の見える連携が、これからもずっと続いていきますように。