NPO法人TEDIC/代表理事 門馬優

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石巻圏域子ども・若者総合相談センター、オープン。

法人設立から丸7年、8年目に突入した今年度。新たな事業をスタートさせます。

 

2018年7月3日(火)「石巻圏域子ども・若者総合相談センター(以下、センター)」を開所、オープンすることになりました。

 

「石巻圏域子ども・若者総合相談センター」を開設します!(共同参画社会推進課) - 宮城県公式ウェブサイト

 

既に報道発表されている通り、このセンターは宮城県から委託を受け、TEDICが受託運営します。また、子ども・若者育成支援推進法第22条に基づき、宮城県が設置した「石巻圏域子ども・若者支援地域協議会(以下、協議会)」の指定支援機関として、指定を受けました。

 

これまで、出会ってきた子ども・若者のニーズに合わせて、少しずつ現場を増やし、支援プログラムを増やしと取り組んできましたが、活動を続ければ続けるほど、より深刻な状況に向き合わざるを得ず、その度に無力さを感じる場面が多々ありました。

 

制度の「対象者にならなければ、支援できない」という壁にも、何度も阻まれてきました。また、現場レベルでは支援者間での信頼関係をベースに個別ケースにおいて連携をしてきたものの、「民間団体だから」という理由で情報が共有されなかったり、共有の根拠について行政関係機関から指摘を受けることもありました。(個人情報の取扱いは非常にデリケートなものですので、ご指摘はごもっともでした。)

 

そんな壁を乗り越えて「ご本人の最善の利益」に、愚直にまっすぐに、向き合っていくために、何ができるのか。「私たちが関わった子ども・若者は、本当に"シアワセ"なのだろうか。」という問い(これは常に問われ続ける問い)。

 

そんな問いに悩み続けている中で、再会したのがNPOスチューデント・サポート・フェイスの谷口仁史さんでした。ご周知の通り、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀(2015年8月31日放送)」でも取り上げられ、佐賀県で年間のべ4万件にも及ぶ子ども・若者・その家族からのSOSに、応え続けられている団体です。

 

昨年11月には、内閣府アウトリーチ(訪問支援)」研修を活用させていただき、2週間、佐賀で修行をさせていただきました。様々な法や制度を駆使しながら、限界を突破し続ける団体としての姿勢に、「このままじゃ、いけない」と檄を飛ばして頂いたような気持ちでした。

 

今回、石巻圏域で新たに取り組ませて頂くこの仕組みは、佐賀でも先進事例として取り組まれているものです。しかし、あくまで制度や仕組みは「枠組み」でしかなく、その「枠組み」に"魂"を入れる我々が、結局のところは問われているのだと思っています。

この我々という言葉は、私たちTEDICはもちろん、子ども・若者の"シアワセ"を願ってやまない行政関係機関はもちろん、学校、NPO、地域住民、全てのひとたちを指します。震災後に一緒に切磋琢磨してきた、またご指導いただいた諸先輩方とも一緒に、この仕組みを育てていきたいと思っています。

 

オープン前から、児童相談所、教育事務所、スクールソーシャルワーカー、学校、病院、保護者のみなさん等、たくさんのケースのご相談を寄せて頂いています。明日のオープン初日も、既に相談が入り、僕は朝から学校でのケース会議です。

 

今まで培ってきたこと、子どもたち、親御さん、沢山のケースの一つ一つから教えてもらってきたことを忘れず、これからも頑張ります。(なんか仕組みができても、結局これまでと良くも悪くも、やることは変わらないんですよね。)仕組みを育てていった先に、仕組みがなくても、みんながシアワセに暮らせる社会や地域がありますように(そういう仕組みなのかもしれない。)

被災した渡塾「高槻校」応援のお願い。

大阪北部地震で被害を受けた一人親家庭の子どもたちの塾 渡塾「高槻校」を再建する! - CAMPFIRE(キャンプファイヤー)

活動を始めて8年目。沢山の方々に支えてもらっての活動でしたが、"同世代"の「仲間」の存在は、こんな自分が今でも活動継続出来ている、その中も大きい原動力です。宮城県内はもちろん、東北、そして全国で頑張っている「仲間」の顔を浮かべると、エネルギーが湧き上がってくる不思議。出張や仕事で会うたびに、お酒片手にアホみたいな話から、活動のこと、経営のこと、社会のこと、未来のことを語り合う「仲間」がいます。

 

そんな大切な仲間の一人である渡(普段は同世代なのにめんどくさい先輩弄りをしてくるやつ)。渡自身が母子家庭で育った経験(経験って二文字で表現できるような、そんなものじゃないけど)から、ひとり親家庭の子どもたちを中心に、経済的に苦しい状況にある中高生を支援するNPO法人あっとすくーるを、大阪・箕面市で立ち上げ、「渡塾」という学校で子どもたちを支えています。

 

渡塾は、主にひとり親家庭の子どもたちを支える塾です。「塾」と聞くと、お金の匂いがしたり、ビジネスだと思われたりするかもしれませんが、渡とその仲間たちが創っているのは「塾」ではありません。「学習」をキッカケに、子どもたちと大学生が出会う「場」であり、「つながり」づくり。その先には、子どもたちと出会った、大学生ボランティアや職員が、ひとり一人の子どもたちに寄り添って「学習」だけではなく、彼らの今を支えています。学習を支援するだけではなくて、あくまでひとり一人の子どもたちの人生を、一人の人として支えるという関係に、強くこだわっているんだと思います。そのプロセスは全然華やかではなくて、泥臭くて、地道で、綺麗ごとばかりではなく、きっと胸が締め付けられるようなそんな場面の連続なんじゃないかなと思います。進学率という数字に現れるだけではなくて、「渡塾に出会えて人生が変わった」そんな子どもたちがたくさんいます。

 

そんな渡塾「高槻校」が、先日の大阪北部地震で被災し、再建を余儀なくされました。

 

7年前のあの日の自分の故郷に重ねつつ、なんとか力になりたいと思っています。震災後に、TEDICが何とか前に進めたのは、阪神淡路大震災の時に立ち上がったNPOの諸先輩方のサポートがあったから、でした(もちろん、それだけではなかったけど)。石巻で今も仕事をしていると「関西弁」を聞かない日はないくらい、遠く離れたところから、今でも支えてもらっています。今度は、僕から恩返しをする番です(熊本のときも、水害のときも、変わらずですが)。

 

自分たちが関わっている子どもたちの顔を思い浮かべると、「当たり前」だと思っていた「場」=「渡塾」が奪われることが、どれだけ彼らを追い詰めるものなのか。想像に難くありません。

 

うっかりこのブログを読んでしまったみなさん、ぜひシェアでも「いいね」でも、何より「ご寄付」でも応援していただけたら、幸いです。渡の思いは本物です。ぜひご支援をお願いします。

 

親御さん。

大阪出張から帰ってきてから、新規ケースで事務所の電話が鳴り続ける。児童相談所、スクールソーシャルワーカー、病院、教育事務所・・・。今日は、デスクワークをこなして昼から子ども食堂運営に関するミーティング。結論出ず、ただ「出会い方」のひと工夫で、関係性はがらっと変わると再確認。その後は新規事業の打合せ、自治体とのやりとりも大詰めで、いよいよ週明けにはお披露目。夕方からは新規ケースの面談。「不登校」ケースの面談、「まさか自分の子が不登校になるなんて・・」このフレーズをこの数年で何回聞いたことか。なんとかフリースクールの体験利用に繋がりそう、次の出会いが勝負。面談終わったら、zoomでもビデオ会議。地域の中でも自法人の立ち位置も考えながら、攻めと守りのバランスをどう考えるのか。夜はアウトリーチ、この1年、他の職員が対応してくれていたケースの引き継ぎ。久しぶりの再開で笑顔に出会えたことに感謝。これからの関わりに、どんな価値を生めるのか。

 

「面談室」に入ってくる親御さんの表情は不自然に明るく、でも全身から不安と緊張と、かすかな望みが絶たれたらどうしようという切迫感と、色んな感情がごちゃまぜになった結果、本当に言いたいこと、聞きたいことをなかなか切り出せなかったりする。胸の突っかかりに何があるのか、何が絡まっているのか、その糸を少しずつほぐすイメージで、時間を一緒に過ごす。娘、息子のことを心配に思い、相談にくる親御さん。支援者や関係機関には娘、息子の相談はできても、その状況におかれて「どうしたら・・・」と押しつぶされそうになっている、親御さん"自身"の相談をすることは意外と難しい。罪悪感にも似た気持ちがうごめく中で、それでもこんな若造支援者を信じて、語り始めてくれる親御さんに、「ありがとう」という気持ちでいっぱいになる。今日の面談が、スタートラインになりますように。今日はゆっくりと、眠りにつけますように。

(写真を毎ブログで載せようとしたけど、断念。諦めて文字だけでも書き残します。)

合宿。

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週末は1泊2日で関西へ。関西で学生に関わる団体が合同合宿、宮城からチャンス・フォー・チルドレンさんと一緒に。初日は各団体での学生ボランティアの現状や課題の共有、整理。夜の懇親会では「そもそも、なぜ学生なのか?」という問いをお酒交えつつ、議論。2日目はいくつかのグループに分かれて、アクションプランづくり。学生のみんなが価値を発揮できる、主体的に活動できるためには、組織のあり方自体を考える必要がある。学生と一緒に活動する職員のあり方、学生のリーダー的存在、そもそも活動する学生の裾の拡大。団体の枠を超えて、面白い取り組みができたらということで、今後も企ては続きます。笑

 

先輩方と話しながらいくつか。「これまでの棚卸しをした上で、ビジョン・ミッションの再整理」「ロジックではなく、この人だからついていく」「とにかく語る」「(心を)素っ裸に関われるか?」石巻に戻ったら、法人の棚卸ししながら、振り返りしたい。とりあえず、チキン南蛮食べて帰りますが、飛行機に果たして間に合うのだろうか。今回呼んでいただいた実行委員会の皆さん、ありがとうございました!(ややブログペース落ちてるので、頑張らねば。)